研究概要 |
平成23年度は、連続体とその部分集合を組合せ論的集合論や記述集合論の観点から調べた。特に、自然数全体の集合ωのベキ集合P(ω)を有限部分集合の族finで割った商ブール代数P(ω)/finとそれに類似した集合論における商構造の組合せ論的性質に焦点を絞って研究を行った。 この研究テーマの一部として、P(ω)/finにおける重要な現象であるsplittingのいくつかの局面と、splittingの偏極した分割関係(polarized partition relations)との相互関係を調べた。集合列A=〈a_α:α<ω_1>⊂P(ω)がtail splitting列であるとは、全てのb∈P(ω)に対して、ほとんどのa_αがbをsplitするときにいう。sをsplitting numberとするとき、tail splitting列の存在がs=ω_1を導く。しかし、「tail splitting列が存在しないがs=ω_1である」という主張が無矛盾であることを反復強制法によって証明した。基数の対κ,λが強い偏極した分割関係を満たすとは、任意のκ×λ上の色付きcに対して、cがA×B上で一定となるような部分集合A⊂κ(|A|=κ)とB⊂λ(|B|=κ)が存在することである。対ω_1,ωが強い偏極した分割関係を満たすことはtail splitting列が存在しないことと同値である。従って、「対ω_1,ωが強い偏極した分割関係を満たすがS=ω_1である」という命題の無矛盾性を得ており、GartiとShelahの問題を解いた。 研究の計画通り、科学研究補助金を主に海外研究協力者との共同研究や国際会議で成果発表を行うために必要である旅費として使用した。例えば、Asian Logic Conference(ニュージーランド)では、ほとんど交わりがない集合族(almost disjoint families)に関するKhomskii氏(アムステルダム大学)との共同研究について成果発表を行った。
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