研究課題/領域番号 |
21540144
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田村 要造 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50171905)
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研究分担者 |
前島 信 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90051846)
坂川 博宣 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (60348810)
鈴木 由紀 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30286645)
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キーワード | 確率論 / 大偏差原理 / カレント / ランダム媒質 / 漸近挙動 / 再帰性 |
研究概要 |
ランダムな媒質中の拡散過程の長時間漸近挙動に関する情報を得るためには、形式的には、時間による積分のみならず、確率積分に対する漸近挙動を調べる必要がある。そこで、一般にコンパクトなリーマン多様体上のブラウン運動の時間発展に対する経験分布と、このブラウン運動による確率線積分から定まるカレントに対する大偏差原理を調べ、結果を得た。ブラウン運動の確率積分によるカレントに対する大偏差原理に関しては、いくつかの結果があったが、それらに比べ、我々の結果は大偏差原理の割合関数を明示的に与えることができた。このことは、今後この大偏差原理を応用していく上で有効と考えられる。 また、多次元のランダム媒質中の拡散過程の長時間漸近挙動として、再帰性、推移性について調べた。先ず一般に、ランダム媒質が自己相似性を持っている揚合に、そのランダム媒質の見本過程がどのような性質を持っていれば再帰的になるかについて、一般的な枠組みの下で調べた。次に、ランダム媒質がガウス分布に従う場合を扱った。平均が0であるガウス場の場合に、共分散関数を用いて、再帰的になるための十分条件を与え、これを適用して、フラクショナルブラウン場の中の拡散過程の再帰性に関する結果を得た。 さらに、ガウス系でないランダム媒質中の拡散過程に関しても研究を行った。これに関しては、各成分が独立な安定過程に従う場合を扱い、かなり一般の安定レヴィ過程をランダム媒質として持つランダム媒質中の拡散過程が再帰性を持つことがわかった。
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