研究概要 |
平成23年度は、前年度までに合成、構造解析を行なった有機-無機ハイブリッド相互侵入網目発光ゲルの発光特性について検討した。同相互侵入網目発光ゲルは、有機溶媒、α,ω-非共役ジエンと多官能環状,籠状シロキサン化合物からなるネットワーク構造と、σ-π共役系高分子から構成されており、サイズが約2mmの均質な網目を形成している。発光素子としては、スペーサーを有する2枚の透明電極間で支持塩を添加した同ゲルを合成することにより作製した。発光素子について、直流電流、交流電流を印加したところ、輝度が低いものの、発光現象が確認された。しかしながら、輝度が低く、また発光も安定しないため、現有の簡易的な輝度計では定量的な評価にはいたらなかった。また、σ-π共役系高分子の代わりに低分子蛍光物質を含有するゲルを用いた発光素子についても、発光現象を確認した。発光素内でのゲルの安定化を目的に、不揮発性のイオン液体を溶媒に用いた網目ゲルについても検討を行なった。上述の網目構造とは異なるが、溶媒との親和性を考慮した類似構造の網目構造の分子設計と、溶媒種の影響をうけにくいラジカル反応を用いた合成により、均質な網目構造を有するゲルを合成した。同ゲルはイオン液体に由来する導電性を有しており、通常の有機溶媒を含有するゲルを用いた素子の作製で添加した支持塩が不要になることが期待される。同ゲルを用いた相互侵入網目発光ゲルの合成を目的に、イオン液体との親和性の良好なσ-π共役系高分子の合成についても検討した。
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