研究概要 |
現状の大学の実験室レベルの環境と設備においては,外部汚染を防止したうえでの熱処理によって熱平衡原子空孔を実現することや,熱処理後に十分な速度で熱平衡原子空孔を急冷凍結することは困難であるという結論に足した.そこで,十分な速度での試料急冷を実現するために,現状ブロック状試料の代わりに通常のデバイス製造用300mmウェーハから切り出された厚さの薄い試料でも超音波測定ができるような条件を見出した.それは,これまで測定していたCL[111]という弾性定数ではなく,C11という弾性定数を測定することによる.このように,試料として普通のデバイス製造用ウェーハが使えるようにできたことで,今後の実験においては,実験環境の清浄度や試料の加熱,速やかな冷却などが実現できる半導体製造用のプロセス装置(RTA装置: Rapid Thermal Annealer)が使えるようになった.今後の実験,同じ方針(実験原理)を維持しつつも,半導体ウェーハメーカと協力しながら, RTA装置によって,熱平衡原子空孔を凍結させた試料を作成する事を計画している.
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