研究概要 |
擬二元合金(Fe,Mn)(Rh,Pd)は磁場印加による構造相転移,磁気相転移に伴う体積歪が示唆されるなど興味深い磁気特性が期待される。本研究では、21年度にFe_<1-x>Mn_xRh系について、1)すべてのMn濃度において室温でCsC1型結晶構造をとること、2)0.1≦x≦0.4で4μ_B/f.u.を超える大きな自発磁化(M_S)を持つこと、3)Mn濃度を増加させるとx=0.6近傍でM_Sが急激に減少し,x=0.8では0となること、4)このx=0.8の80Kでの^<57>Fe核メスバウアー効果測定の結果、内部磁場が25Tと大きいことから反強磁性状態にあることを示し、22年度はxを0.8に固定しRhをPdで置換した系,Fe_<0.2>Mn_<0.8>Rh_<1-y>Pd_yについて(1)室温では0≦y≦0.5の領域でCsC1型結晶構造,y=0.6ではCuAu-I型構造をとるが,y=0.5については温度を下げるとCuAu-I型構造が現れる、(2)この系の0.1≦y≦0.4の領域でM_Sが再び大きくなる、(3)y=0.5の磁化の温度依存性は,印加磁場によって磁化最大となる温度が異なっており、80Kでの自発磁化は0.04μ_B/f.u.と小さいが,メスバウアー効果測定から得られた^<57>Feの内部磁場は21Tと大きいことから,CuAu-I型構造の反強磁性状態が支配的である事を示した。23年度は電子数を変化させない系、Fe_<1-y>Mn_yRh_<1-y>Pd_yの単相を作成することに成功し、磁化測定や交流帯磁率の圧力依存性の測定を行う事によりこの系の格子定数、電子数による磁性の変化について知見を得た。以上のことにより、仮想原子近似を用いた計算結果で得られた構造や磁性について実験的に検証することができたが、大きな体積膨張率を持つ磁歪材料となるのかについてはさらなる検討が必要である。
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