研究概要 |
本年度は以下の検討を行った。 1. アミノ酸結合型PQQ誘導体の合成の検討。各種アミノ酸とPQQのインキュベーション条件(特にpH)等を変えてPQQ誘導体の合成の最適条件を検討した。また、合成した標準品はHPLC分取法を用いて精製を行い、純度は概ね98%以上が得られた。しかし、L-バリン、L-グルタミン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-レフェニルアラニン、L-チロシンを用いた合成では回収率が著しく低く、再検討の必要性が明らかとなった。 2. 内部標準物質の合成の検討。内部標準物質として安定同位体[13C]PQQ誘導体を使用する。最初にSuzuki and Kumazawaの方法(Methods Enzymol., 1997)に準じて[13C]PQQの合成を行い、約1.1mgを得た。次に、この[13C]PQQと各種アミノ酸との反応によるアミノ酸結合型[13C]PQQ誘導体の合成を1.の条件に準じて行い、精製はSep-Pak C18カートリッジ法にて行った。 3. 分析条件の検討。合成したPQQ誘導体の標準品及び内部標準物質を用いてHPLC条件を検討した。カラムはC18あるいはC8(長さ15cm x 内径2.1mm、粒径5μm及び3μm)を用いた。また、移動相は10mM酢酸アンモニウムとアセトニトリルを用いることで、PQQとPQQ誘導体の分離を行うことができた。 4. マススペクトル解析の検討。PQQ誘導体の標準品及び内部標準物質について、HPLC/MS/MS-Negative ESI法によるマススペクトル解析を行ったところ、MSでは偽分子イオン[M-H]-をベースピークとし、MS/MSではカルボキシル基が1~3個の開裂に伴うプロダクトイオンが出現する共通性が見られ、結果をまとめてスペクトルライブラリーを作成した。
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