本研究は、茶飲料企業の超国家的な原料調達のもとでの茶産地システムの変化を明らかにするとともに、地域茶産業の持続可能性を検討することを目的とした。食品安全志向のもとで飲料企業は原料調達を中国から日本や第三国へとシフトした。その結果、中国の輸出志向産地システムは国内市場向け高級茶販売に転換してきた。また日本や韓国の茶産地においては飲料企業の直営や契約栽培による茶産地システムが形成されてきた。一方、地域ブランドや茶ツーリズムあるいは茶文化を取り入れた新たな産地システムが現れているが、これらは持続可能な地域茶産業の形成条件といえる。
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