δ-プロトカドヘリン(Pcdh)ファミリーの中枢神経系形成と器官形成における機能的多様性の意義を系統的・網羅的に解明することを目的に、ゼブラフィッシュをモデルとして研究を進めてきた。Pcdh9の発現は、前脳と後脳の腹側の一部の細胞に始まり、脊髄にも発現した。続いて脳の発現が強まる一方、脊髄の発現は消失した。Pcdh17もPcdh9とおよそ同様の領域に発現したが、発現パターンの細部には明確な違いがあった。Pcdh19の発現はneural keelに始まり、続いて広く脳、眼、耳胞に発現した。Pcdh10aは水晶体や耳胞、脳の一部に極めて特異的に発現した。ノックダウンで眼の形成に障害が現れたが、その発生率は予想外に少なく、相補的な因子の存在が推測された。
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