初年度は、複数のtrophoblast stem細胞株を、FGF4存在下に未分化な状態を維持したまま培養してtotal RNAを回収し、更にカラム精製とポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、高品質の20-40merの分子量のRNA画分を抽出した。初年度から次年度にかけて、抽出したsmall RNA分子に対して、アダプターライゲーションとそれに続き逆転写反応とPCRを行い、small RNA分子を増幅してライブラリー化した。次年度は、このライブラリーを用い、small RNA分子の配列を網羅的に解析した。また、DNAマイクロアレイを用いて、small RNAを同定した。 次年度から最終年度は、引き続きライブラリーの網羅的解析を行い、TS細胞と胎盤で高発現するmiRNAファミリーを抽出し、並行して候補miRNAの発現組織特異性を再検証した。抽出したmiRNAファミリーの一部は、数十個のmiRNAが存在するmiRNAクラスター由来の産物であり、E9.5の胚体外組織で特殊な発現制御を受けていた。本研究で同定したmiRNAが、発生時期と組織特異的に、特殊な遺伝子発現状態として制御されている可能性が示唆された。
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