研究課題
本研究ではテネイシン-C及びTransforming growth factor (TGF)-β1の上皮間葉移行への関与について検討している。昨年度までに、乳癌細胞株MCF-7をテネイシン-C/TGF-β1刺激下で培養し、蛍光抗体法、ウェスタンブロットを行い、形態的変化E-カドヘリンとβ-カテニンの局在から上皮間葉移行様変化を起こしていること、Focal adhesion kinase (FAK), SRCのリン酸化が重要であることを明らかとして論文を作成し、American Journal of Pathologyに掲載された。さらに、この変化を起こすシグナルを受け取るテネイシン-Cレセプタについて検討を行い、21年度より明らかとなっているインテグリンαvβ6に加えて、22年度にインテグリンα2β1とシンデカン-4が関与していることを生化学的手法および中和抗体やヘパリンによる阻害実験で明らかとした。しかしながら、さらなる検討によりα2β1ではなく、αvβ1がインテグリンの活性化ならびにFAKリン酸化を引き起こし、上皮間葉移行に関与することが本年度中に明らかとなった。また、中和抗体による検討から、両者はそれぞれ独立して上皮間葉移行様変化に関与していることが判明した。さらに、これらのインテグリンの発現を免疫組織化学的にヒト乳癌組織で検討を行い、それぞれのインテグリンの発現を確認し、上皮間葉移行部位およびTNC発現部位でαvβ6の発現が有意に高いことを明らかにできた。これらインテグリンのEMTにおける役割と乳癌組織での発現については、論文を作成し登校している。シンデカン-4については、siRNAによる発現抑制を行ったところ、TNCによる上皮間葉移行様変化が抑制された。これについても、さらに検討を進め、論文として発表する予定である。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
ANALYTICAL CHEMISTRY
巻: 83 ページ: 9123-9130
10.1021/ac202159p
JOURNAL OF CELLULAR PHYSIOLOGY
巻: 226 ページ: 2617-2624
10.1002/jcp.22614
JOURNAL OF IMMUNOLOGY
巻: 187 ページ: 5851-5864
10.4049/jimmunol.1101524
http://www.medic.mie-u.ac.jp/pathol_matrix/