• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

緑膿菌の抗菌薬抵抗性獲得機構に関する遺伝子発現ネットワークの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21590627
研究機関徳島大学

研究代表者

小野 恒子  徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40035514)

研究分担者 三宅 洋一郎  徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80136093)
村上 圭史  徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10335804)
吉永 哲哉  徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40220694)
キーワード抗菌薬抵抗性 / カルバペネム / バイオフィルム / pslオペロン / cbrA
研究概要

緑膿菌の抗菌薬抵抗性のメカニズムを明らかにする目的で、今年度はこれまでに明らかになっている抗菌薬抵抗性関連遺伝子間の相互関係について検討するとともに,緑膿菌のライフスタイルの変化と抗菌薬抵抗性の関連性を明らかにするため、Tn挿入変異株ライブラリーを作製し、新たな抵抗性関連遺伝子の探索を行い,下記の成果を得た。
1.PQS quorum sensing(QS)を担うautoinducer合成系オペロン遺伝子pqsA,pqsE,pqsRを欠失した変異株はいずれも親株に比ベカルバペネム作用後の生存率が2~5倍高く,抵抗性が上昇した。一方PQS QS制御因子をコードするvqsR欠失変異株はカルバペネム抵抗性が親株の1/10に低下した。vqsRとpqsA,pqsE,pqsRとの二重変異株はいずれも生存率が上昇し、vqsR変異による抵抗性の低下が抑制された。また,pqsAおよびpqsE変異はrpoN変異株のカルバペネム抵抗性を低下させる。このことから,vqsRはPQS系QS関連遺伝子の発現にネガティブに影響を及ぼしていると推察された。
2.緑膿菌標準株PA01株にminiTn5を挿入した変異株ライブラーを約8000株作製し,その中から14株の付着時MBC(MBCAD)が低下した株および11株のバイオフィルム形成時の抗菌薬抵抗性が低下した変異株を分離した。バイオフィルム形成時の抵抗性が低下した株は1株のみバイオフィルム形成能が低下しており、バイオフィルムの主要な菌体外マトリクス合成系オペロンに属するPS1J内の挿入変異であることが判明した。その他8種の遺伝子にはチトクローム系および電子伝達系を担うタンパクをコードするものが複数存在しており、酸化ストレスとの関連性が推察された。またライフスタイルの変換に関わるシグナル伝達系cbrA/Bのセンサー遺伝子cbrA変異株が2株含まれていた。さらにバイオフィルム形成能が親株レベルであり抗菌薬抵抗性が低下した変異株は浮遊時および付着時の抗菌薬抵抗性には影響を及ぼしておらず、また、逆に付着時抵抗性低下株はいずれもバイオフィルム形成能が低下していることから、バイオフィルムの抗菌薬抵抗性を担う遺伝子はバイオフィルム形成過程と強くリンクしており付着時および浮遊時の抵抗性とは異なったメカニズムが存在することが示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 緑膿菌におけるc-di-GMPと抗菌薬抵抗性との関連について2011

    • 著者名/発表者名
      村上圭史
    • 学会等名
      第8回日本化学療法学会西日本支部総会
    • 発表場所
      大分全日空ホテル(大分市)
    • 年月日
      2011-11-25
  • [学会発表] 付着緑膿菌における抗菌薬抵抗性に関与する遺伝子の検討2011

    • 著者名/発表者名
      野間保喜
    • 学会等名
      第64回日本細菌学会中国四国支部総会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山市)
    • 年月日
      2011-10-22
  • [学会発表] The Pseudomonas aeruginosa quinolone signal plays a dual role in the response to antimicrobial agents2011

    • 著者名/発表者名
      Darija Viducic
    • 学会等名
      International Union of Microbiological Societies 2011 Congress
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(札幌市)
    • 年月日
      2011-09-09
  • [学会発表] Pseudomonas aeruginosa psl genes plays an important role in biapenem tolerance2011

    • 著者名/発表者名
      Keiji Murakami
    • 学会等名
      International Union of Microbiological Societies 2011 Congress
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(札幌市)
    • 年月日
      2011-09-09
  • [学会発表] The involvement of psl genes and the second messenger c-di-GMP in antibiotic tolerance of adherent Pseudomonas aeruginosa2011

    • 著者名/発表者名
      Keiji Murakami
    • 学会等名
      EUROBIOFILMS 2011 (Second European Congress on Microbial Biofilms-Basic and Clinical Aspects)
    • 発表場所
      Panum Institute (Copenhagen)
    • 年月日
      2011-07-06

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi