研究課題
表皮の増殖・分化は多くの細胞成長因子により制御されており、最も重要なものはEGFファミリーである。我々が作製した表皮特異的HB-EGFノックアウトマウスは、外見は正常であるが創傷治癒が遅延し、HB-EGFは創傷治癒機転の早期に誘導されることを見いだした。皮膚悪性腫瘍形成においてもHB-EGFが重要な働きをしているのではないかと考え、化学発癌と紫外線発癌におけるHB-EGFの役割について明らかにすることを目的とした。本年度はlox-HB-EGFホモマウスとケラチン5プロモーターで発現するcre発現マウスとの交配を繰り返すことにより表皮特異的HB-EGFノックアウトマウス:HB-EGF KOを作製した。テトラサイクリン誘導型表皮特異的HB-EGFTGマウスは2種類、遊離型HB-EGFを発現するマウスと、膜型HB-EGF(酵素により遊離型に切断されない変異体)を発現するマウスを作製しC57/BI6マウスと交配を繰り返した。表皮特異的に発現誘導させるため、K5TetOnTGマウスを作製し、これも増殖させた。これらのマウスを交配し増殖させている。現在までの所明かな皮膚の表現型は見られていない。次年度はドキシサイクリンを投与することにより、マウス表皮にてHB-EGFを発現誘導させ、表現型について観察する。ヒト表皮角化細胞を無血清培養にて培養し、細胞密度が90%に達した時点でTPAを培養液に添加し、経時的に培養液を回収し、同時に細胞を溶解し、細胞抽出液を抽出した。培養液中に遊離されたHB-EGFをバイオアッセイを用いて定量し、細胞抽出液を用いてウエスタンブロット法にてEGF受容体の活性化を抗リン酸化EGF受容体抗体を用いて検出した。その結果、TPAによるHB-EGFの膜型から遊離型への変換が表皮角化細胞においてなされていることを確認した。
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