研究課題
昨年度は骨芽細胞にアメロジェニンを添加する事により活性化される転写因子をPanomics社のProtein/DNA Arraysを用いてスクリーニングを行った。その結果、添加1時間後には114の転写因子、3時間後では141の転写因子の活性化が検出された。このうち、時間と共にシグナルの増加が認められた転写因子は23種類であった。本年度はこれらの結果を基にBIOCARTA Pathways (http://www.biocarta.com/genes/index.asp)、Nature Pathway Interaction Database (http://pid.nci.nih.gov/index.shtml)、STRING (http://string-db.org/)等を利用し、転写因子のアレイ結果をデータマイニングすることによって、これら転写因子の上流に位置するシグナルを検討し、アメロジェニンによる骨芽細胞内でのパスウェイをインシリコにて検討した。その結果、骨芽細胞におけるアメロジェニン刺激は大きく分けて2つのシグナリングパスウェイに収束することが示唆された。またこれらのパスウェイはアメロジェニンのレセプターであるLAMP1やCD63との関連性が未だ報告されていない。そのため、これらレセプターによる細胞内シグナルでなければ、アメロジェニンにはこれらの他に新規レセプターが存在すると考えられる。そこで来年度は中和抗体やsiRNAを用いてLAMP1とCD63を阻害することによって、これらのレセプター介して、アメロジェニンが今回得られたパスウェイに影響を与えているのかどうかを検討する予定である