臨床的に味覚を捉えるには、従来の検査法のように味覚受容器を単独で調べるのではなく、咀嚼運動と組み合わせた味覚検査方法を探索する必要がある。本研究は臨床で簡便かつ高い信頼性を有する味覚検査法を検討し実用化することが目的である。 咀嚼運動付加型味覚検査で安全でかつ咀嚼の負担を少なくするため寒天を用いた味覚検査法の検討を行った。長崎大学倫理委員会の承認を得て、ボランティアの協力によりデータ採取した。寒天の硬さ(テクスチャー特性:硬さ・粘弾性)・形状・容量を変えて、味覚強度に違いがあるか調べた。さらに現在臨床で用いられている味覚検査と比較することにより寒天の適切な濃度を検討した。テクスチャー・形状・容量により味覚強度に違いが観察され、他の口腔内感覚・咀嚼との関連が明らかとなった。よって味覚障害の実態をより正確に把握するためには物性を考慮した味覚検査法の有用性が示され、臨床応用へ繋ぐ結果が得られた。
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