本研究は、胃切除術後患者の体重増加の変遷の実態を明らかにし、臨床の栄養指導の検討と実践に活かしていくことを目的としている。 これまでにデータを分析した結果、術後6ヶ月までは体重減少がみられ、術後12ヶ月までは横ばい、また入院時IBW(理想体重比)90%以上と未満を比較すると、2群とも同じ傾向の体重変化がみられた。よって、術後半年までの体重減少率を小さくすることと、術後6ヶ月後も体重減少がみられる患者の支援が特に必要と考えられた。 体重増加のためには、患者・家族らが自分自身の食事摂取量と体重の変化を判断し、自律的に調整することが最も重要であると考える。しかし退院後、栄養指導を希望する患者のなかには、「○○は、いつから食べてよいか」「お腹の調子がすっきりしない」など、以前指導した際の情報を一方的に受け取って、食行動の変更に医療者の許可を求めたり、症状出現の不安から、患者自身で厳格に制限を設けたりする場合がある。知識提供型の書籍はこれまでにたくさん出版されているが、患者自律を促すため、情報と自分自身の状況を統合して判断し、対処法がみつけられるように、体重変化と食事のポイントをA4判一枚のリーフレットにまとめる検討をしている。 また、これまで栄養士、退院後の相談窓口である「よろず相談」の活用を検討してきたが、病棟看護師も加わり、入院期間中から退院後の長期にわたって適切な介入時期、方法について検討をはじめる。
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