研究課題/領域番号 |
21592866
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
野村 美千江 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (50218369)
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研究分担者 |
牧本 清子 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80262559)
田中 美延里 愛媛県立医療技術大学, 講師 (00264903)
奥田 美恵 愛媛県立医療技術大学, 助教 (50331880)
軸丸 清子 愛媛県立医療技術大学, 教授 (40314992)
柴 珠実 愛媛県立医療技術大学, 助教 (60382397)
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キーワード | 高齢者 / 認知機能 / 自動車運転 / 家族相談 / 地域支援 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
【目的】認知機能の低下した高齢ドライバーと家族を支援するサポート体制の構築の基礎資料とする。 【方法】1) 政府や国民が認知症への理解を示す英語圏の4力国(州で法律が異なる場合は地域特性の異なる2州)を選定し、アルツハイマー病協会等のホームページをインターネット検索し、法律、認知症ドライバーの運転適否の評価方法と運転制限、サポート体制等の情報を分析した。2) オーストラリアのアルツハイマー病協会SA支所において、看護チームリーダー、カウンセラー、作業療法士らと意見交換した。 【結果】認知症と診断された高齢ドライバーに対しては、すべての国や州が免許更新を短くするなど何らかの介入を行っていた。本人・家族・医師による当局への申告・届出を義務化し、罰則・罰金を設けている国もあつた。運転技術に支障が出た場合に運転の適否を評価する法制度は様々で、運転停止や免許剥奪の法執行を行う国と、人権に配慮し免許返納を推進する国に分かれた。認知症ドライバーへの特別なサポート体制が整っているかどうかは不明で、公共交通機関の情報提供は多くみられた。2)オーストラリアでは医師から通報を受けた運輸査定局が路上を含む運転テストを実施、3回の失敗で免許取り消しとなるが、免許がないことを忘れて運転する人が多い。今年から一般医の診察前に1.5時間のナースカンウンセリングが保険適応となり、本人・家族からの相談に対応し効果をあげていた。 【考察】本人の意思で免許を取得したドライバーの人権と認知症ドライバーの運転継続によって侵される公共の安全のいずれに重きを置くかは、その国の文化的背景や人々の価値の違いによると考えられた。医師が本人に病名を告知し、運転中止を言い渡しても納得しない場合が多く、認知症患者の運転中止の困難さは世界共通である。サポート体制については、地域特性を考慮し、より小さな単位での情報収集が必要である。
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