研究課題
本研究の目的は、高齢者の運転に関する当事者や地域の保健福祉関係者の認識を明らかにし、自立した生活の維持や介護予防の推進に資することである。我々は、主治医から運転中止を宣告された認知症ドライバーと家族を、2003年から継続的に支援してきた。その経験の中で得た相談技術や知識・資源を有効に活用し、文献調査や海外の情報分析、モデル地域における高齢者と関係者を対象とした調査結果の分析を加えて、認知症高齢ドライバーとその家族に対する効果的な支援情報を総括し、啓発普及することとした。モデル地域において、現在運転中の高齢者は運転未経験・中止者に比べ、安全運転可能な年齢を実年齢より7歳高く想定していた。地域住民・民生委員・ケアマネジャーは、認知機能の低下した高齢者の運転に関する問題意識を有しており、運転の必要性、生活実態を知っているが故のジレンマを当事者間で共有していた。モデル地域における意識調査や諸外国の現状調査の分析結果、地域特性に応じた社会資源の活用、認知機能の低下した高齢ドライバーの運転中止過程と家族支援のコツ等を公表用に資料化した。パンフレットの目次構成は、高齢者の自動車運転(使用目的と心がけていること、安全に運転できる年齢、民生委員とケアマネジャーの思い、運転に影響を及ぼす身体の変化)、認知機能の低下した高齢者の自動車運転(認知症ドライバーと家族の経験、認知症高齢ドライバーの事例、民生委員とケアマネジャーの経験)、お役立ち情報(相談窓口、運転行動の特徴とチェックリスト、認知症の早期発見のめやす)とした。パンフレットは、地域の相談窓口としての機能を果たす県内の全地域包括支援センターに配布するとともにホームページで公表した。
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愛媛県立医療技術大学紀要
巻: 8巻 ページ: 19-25
http://www.epu.ac.jp/site/koureisha/