本研究は、労働者の働き方や生活習慣と心身症状発症との関連やそのメカニズムを、成人双生児を用いた縦断的研究によって解明することにより、職場における実効ある保健指導対策の確立に資することを目的とする。双生児研究法は、遺伝的に同一かつ幼少期(母胎内を含む)の環境を共有する一卵性双生児を対象とすることにより、通常の方法では測定することのできない素因の影響を除去した上で、生活習慣や労働形態等の環境要因の影響を敏感に比較検討できる有力な研究方法である。 縦断的研究の初年度に当たる本年度は、研究対象者として登録された人々の基本的属性や質問票への回答といった個人情報を安全かつ効率的に収集・管理するための基盤として、本研究専用のウェブサイトを設計・構築し平成22年3月に公開した(「13.備考」欄のURL参照)。縦断的研究においては同一人が数箇年にわたって研究に参加することが要求されるため、当ウェブサイトでは研究参加者への様々な情報提供(研究成果の概要を含む)や参加者相互の交流の場の提供など、参加者が永く研究に関わることへのインセンティブとなるように趣向を凝らしている。次年度においては、当ウェブサイトを基点として参加者募集のための広範囲な活動を精力的に実施するとともに、参加登録者に対してベースライン調査を逐次実施していくものとする。同調査に当たっては、携帯電話での回答も可能にすることで参加者の利便性を図るとともに、自らの回答が直ちにウェブ上の個人ページに反映され、簡易なフィードバックを得られるようなシステムを装備してあるため、回答率の向上が期待できるものと考えられる。
|