まず、本研究課題の前身であり継続課題である「HIV抗体陽性者の在宅療養支援に関する実態調査-全国のエイズ拠点病院における平成19~20年の状況-」の論文を執筆し、日本看護研究学会に投稿した(日本看護研究学会雑誌33巻4号掲載予定)。この調査結果からは、HIV/AIDS患者の在宅療養支援に関してはケースの特徴あるいは医療機関のHIV診療経験などの要素が導入の容易さに影響していることが示唆されたが、今後さらに、患者側からみた在宅療養支援の課題を調査する必要があると考えられた。 これをふまえ、平成21年度の調査計画を検討するため、国内外でのHIV/AIDS患者に対する在宅療養支援に関する文献検討や分担研究者らとの研究打合せ会議を行った。具体的な検討内容としては、本課題の最終目標に対しての年度計画、および過去に在宅療養支援を経験したHIV/AIDS患者(家族)および医療者に対する面接調査に関して、研究協力を依頼する医療施設や対象者、倫理的配慮をふまえた依頼の手続き、調査内容などである。この調査計画に関しては山口大学大学院医学系研究科保健学専攻医学系研究倫審査委員会に審査を依頼した(現在審査中)。 また、HIV/AIDSに関する最新の研究の傾向や調査結果の発表をどの学会でどのようにしていくか、また質的データを信頼性の高い手法で分析するための情報収集などの目的で国際学会・国内学会に参加し、多くの示唆を得た。さらに、山口県内の訪問看護ステーションに対し、HIV/AIDS患者の在宅療養支援促進のための教育プログラム(試案)を実施するために、山口県訪問看護ステーション協議会の代表者と実現可能性や実施方法、評価内容などの検討を行った。この件に関しては現在、研究倫審査委員会に対する審査依頼の準備や教育プログラム(試案)を作成中である。
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