研究概要 |
研究の目的:視覚機能低下の関連要因として加齢,ADL,運動習慣などが報告されているが,今回は,特に運動視機能と運動習慣など活動状況との関連について検討した。 研究方法:1.対象:ADL障害はなく,地域で暮らしている40歳以上で,研究への同意が得られた73名。2.調査方法及び内容:1)年齢,性別,既往歴,職業歴,運動歴などについて自記式調査を行う。2)静止視力(SVA),夜間視力,前後方向動体視力(KVA),横方向動体視力(DVA),深視力,瞬間視を測定する。3.倫理的配慮:研究参加者に本研究の目的等について書面と口頭で説明し,研究協力の同意を署名により得た。 結果:1.対象の特性:男性25名女性48名,平均年齢70.85(SD8.53)歳2.視覚機能:SVAは中央値0.80,夜間視力は平均66.39(SD34.10)秒,KVAは中央値0.24,DVAは平均16.53(SD2.67)rpm,深視力は平均28.88(SD18.81)mm,瞬間視は平均9.36(SD2.96)点であった。測定不能者は,夜間視力で23名(31.5%),KVAで1名(0.01%),DVAで21名(28.8%),深視力で4名(0.05%)いた。3.運動視機能と関連する要因:各運動視機能を従属変数,SVA,年齢,職業歴,運動歴,眼疾患の有無を独立変数の多重ロジスティック回帰分析を行った。年齢とSVAは夜間視力,KVA,深視力に関連していた。深視力は「現在運動している」夜間視力は「現在仕事をしている」と関連していた。 研究の成果:SVAと加齢の関連はすでに言われているが,運動視機能も年齢とともに低下していることがわかった。関連要因として年齢とSVAのほかに運動習慣,就業との関連が示唆された。今後、サンプルを増やし調査・分析する必要がある。 尚,日本老年社会科学会第52回大会(平成22年6月16・17日)で発表予定。
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