研究概要 |
【研究目的】本研究では特に,転倒と運動視機能との関係について検討した。 【研究方法】1.対象:眼疾患がなく,地域に在住している65歳以上で,研究への同意が得られた方170名。2.調査方法及び内容:1)年齢,性別,過去の転倒歴,活動能力(老研式活動能力指標)について自記式調査を行う。2)静止視力(SVA),前後方向動体視力(KVA),横方向動体視力(DVA),深視力,瞬間視,眼球運動,眼と手の協応動作,夜間視力を測定する。3.分析方法:各運動視機能,活動能力と転倒歴,転倒恐怖感の有無群での比較をMann-WhitneyのU検定を行った。【結果】1.対象の特性:男性67名,女性103名,平均年齢73.29(SD6.44)歳,過去の転倒歴あり40名(23.5%),無し121名(71.2%),無回答9名(5.3%),一年間の転倒歴あり21名(12.4%),無し139名(81.8%),無回答10名(5.9%),転倒恐怖感あり58名(34.1%),無し99名(58,2%),無回答13名(7.6%),活動能力平均12.28(SD1.272)。2.視覚機能について:対数SVAは平均-0.188(SD0.258),対数KVAは-0.684(SD0.259),DVAは平均18.51(SD6.06)rpm,深視力は平均29.5(SD20.45)mm,瞬間視は8.8(SD2.82)点,手と眼の協応動作139.54(SD20.49)秒,眼球運動は平均80.62(SD17.81)%,夜間視力90.7(SD66.8)秒であった。3.転倒と運動視機能,活動能力との関係について:一年間の転倒有無群の比較では,瞬間視で有意差がみられ(p<0.05),眼球運動で有意傾向がみられた(p=0.057)。転倒恐怖感の有無群では,夜間視力で有意差がみられた(p<0.05)。転倒歴有無群では,DVAと活動能力で有意傾向がみられた(p<0.1)。【考察】視機能と活動能力の関係はすでに言われているが,今回の結果でも運動視機能やADLが影響していることが示唆された。また,転倒恐怖感には夜間視力が影響していることが示唆された。 尚、第16回日本老年看護学会学術集会(平成23年6月16日・17日)で発表予定。
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