研究概要 |
本研究は,情報機械系技術の融合技術により,顔面神経麻痺患者の表情筋の随意運動機能を支援・拡張することで,患者自身の意思,つまり脳からの指令により自由に自然な表情表出を実現することを目標としている.提案手法は,人工筋肉の収縮を微細ワイヤと微細管を通じて顔面の皮膚に伝達する非侵襲の表情表出支援機構を実現するものであり,非線形性の高い形状記憶合金に基づく人工筋肉を用いた制御を実現するだけでなく,生体電位信号を利用して随意運動機能をロボット技術により支援・拡張を実現可能である. 本年度は,昨年度に開発したロボットマスクシステムに基づき,複数筋を用いて開発したソフトアクチュエータの制御実験を行うとともに,ヒト顔面に貼付する皮膚保護シートの研究開発を実施した.また,実際の被験者(患者)による実証実験の準備を行った.ここでは,表情筋を制御する顔面神経系からの生体電位信号に基づき,ロボットの収縮機構を制御する生体ロボット制御,及び手動で動作させる手動制御のモードを準備し,複数の異なる表情変位を生じさせることが可能であることを確認した. また,これまで行ってきたロボットマスク構築に加え、機能的電気刺激を用いた表情表出支援の研究を実施した.頬筋枝上にて2チャンネルで選択的電気刺激を行い,口角の上下を行う実験を行った.ここでは,モーションキャプチャによる顔表情変化の物理計測結果と比較することで,有効性の検証を行った.
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