シロイヌナズナの排出型ホウ素トランスポーターの一つBOR6の機能や役割を明らかにするためにBOR6遺伝子に外来遺伝子であるT-DNAが挿入された変異株を用いた実験をしていたところ、あるT-DNAについてヘテロ接合体となっている個体で、その後代のほとんどの個体がヘテロ接合体となるという現象が見いだされました。BOR6はホウ素を輸送するトランスポーターですが、このヘテロ接合体の維持にはホウ素栄養条件は無関係であることがわかりました。また、この株ではT-DNAの挿入とBOR6遺伝子は共に1コピー存在していることがわかりました。すなわち、この株におけるヘテロ接合体を維持するしくみは、ホウ素とは無関係に、T-DNAの挿入のあるBOR6遺伝子を持つ配偶子と挿入の無いBOR6遺伝子を持つ配偶子が何らかの作用で選択されて受精することによる可能性が示唆されました。
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