研究課題/領域番号 |
21658087
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鈴木 正嗣 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90216440)
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研究分担者 |
淺野 玄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30377692)
横山 真弓 兵庫県立大学, 兵庫県森林動物研究センター, 准教授 (50344388)
竹田 謙一 信州大学, 農学部, 准教授 (90324235)
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キーワード | 野生動物 / 動物福祉 / ストレス / 行動学 / 獣医学 / 個体群 / ニホンジカ / 生物多様性 |
研究概要 |
平成22年度は、「誘引狙撃法による頭部被弾で瞬時に死亡したニホンジカ(以下シカとする)」「胸腹部への被弾や罠捕獲により、比較的ストレスが高い状態で死亡したと想定されるシカ」「罠で捕獲され高ストレス下にあると考えられたツキノワグマ」「傷病鳥獣救護の一環で捕獲・搬入されたタヌキ」などから血液等のサンプルを得ることができた。これらのサンプルでは、各種の血液生化学性状や血中コルチゾル濃度等を測定し、捕獲の手法・プロセスに依存し大きな差が生じる可能性のある複数の測定項目を抽出した。とくに血中コルチゾル濃度においては、市販キットの測定範囲を超えるケースも認められ、キットの対象種も限定されていることから、ELISA法を用いたストレス評価法を導入する必要性が確認された。行動学的には、誘引狙撃法による発砲時のシカの行動観察と録画にも成功した。これにより、「誘因餌への執着」や「爆音器による銃声への馴化」等を示す行動を確認することができた。以上の結果により、「給餌による誘引と爆音器による銃声への馴化とを組み合わせ、誘引された個体の頭頸部を狙撃する方法」は、被弾前のシカの警戒心を抑制するのみならず、被弾前後のストレスを著しく軽減させることが示唆された。この手法は、工夫(射手がブラインドに身を隠すことや捕獲再開までに一定の日数を空けることなど)により捕獲効率を高めることも可能であり、American Veterinary Association(2007)のAVMA Guideline on Euthanasiaにも適合していることから、我が国におけるシカの個体数管理に極めて有効と考えられた。
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