今年度は、1.母子世帯の労働と福祉に関する資料収集、2.地方自治体の母子福祉施策に関するヒアリング調査、3.特定自治体の母子福祉データの分析、を中心に行った。 1については、母子世帯関連の研究・統計資料のほか、諸外国の福祉改革と労働政策、地方自治体の地域雇用対策と福祉行政など、労働と福祉の接合領域に関する資料を中心に収集した。地方自治体の資料分析の一部は今年度のヒアリング調査に活用させ、諸外国の資料分析は翌年度以降の外国調査の基礎的作業として行った。 2については、地方自治体9団体の母子福祉行政担当課および関連機関(福祉事務所、労働局、職業訓練校、ハローワーク、母子生活支援施設、母子寡婦団体、母子家庭等就業・自立支援センター等)に対して行った。9団体のうち4団体については1999~2003年にかけて実施した同様の調査のフォローアップ調査として行い、2002年母子福祉改革後の地方自治体の現状と現場レベルの変化を調査した。改革後に創設された母子家庭等就業・自立支援センターについては、地域雇用情勢のみならず運営委託先による地域差も少なくないことがわかり、今後の検討課題として浮上した。また、労働・福祉行政いずれの現場においても、母子世帯の母だけでなく母子世帯の子どもの進学・就職問題が課題となっていたことが過去の調査との相違であった。 3については、2006年度から調査対象としている地方自治体の協力をいただき、生活保護と児童扶養手当データの分析を行った。全国調査や政府統計では把握できない貴重なデータである一方、先行研究も少ないため、個人情報保護等に万全を期しつつ慎重に分析を行った。データ分析の解釈を補うために、当該地域の母子世帯当事者や関係機関に対するインタビューも実施した。
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