研究課題/領域番号 |
21683002
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
藤原 千沙 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (70302049)
|
キーワード | 母子世帯 / ひとり親 / 地方自治体 / 母子福祉 / 自立支援 / 就業支援 / 生活保護 / 児童扶養手当 |
研究概要 |
昨年度まで進めてきた研究の継続課題として行ったのは、特定自治体の母子福祉データの分析、母子世帯の労働・福祉政策資料の収集、地方自治体の母子福祉施策とプログラム執行機関に関する調査である。継続して観察している自治体については施策の動向や直近の課題を把握するとともに、母子世帯の就業支援にかかわる民間団体や支援機関に対してヒアリングと参与観察を行った。さらに外国調査としてニュージーランドの母子世帯の労働と福祉に関して関連団体へのヒアリングと資料収集、母子世帯当事者へのインタビューを行った。 また今年度は、東日本大震災の発生を受けて、地方自治体調査の対象を被災地の自治体に拡大して実施した。東日本大震災が母子世帯の仕事や子育てに与える影響と、被災地における労働・福祉政策の地域的課題を明らかにするために、岩手県の沿岸被災地における母子世帯の現状と内陸部で避難生活を送っている女性の仕事や子育てをめぐる課題について検討を開始した。岩手ひとり親家族支援・地域連携会議を開催し、当事者・支援者・行政関係者と意見交換・協議を重ねながら、震災の影響を受けた母子世帯に対する喫緊の支援策や長期的な自治体施策のあり方について提言活動につながる検討を行った。 これまでの外国研究から、近年、ひとり親や生活困窮世帯に対する親支援(ペアレンティング)が重視される傾向がみられることから、その政策動向の背景や意義および問題点について検討する準備を開始した。母子世帯の支援団体および岩手ひとり親家族支援・地域連携会議の関係者に協力をお願いし、カナダの親支援プログラムNobody's Perfectの手法を検証する取り組みを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の発生により、前半期は研究活動が制約されたが、後半期に取り戻した。 震災が与えた影響に鑑み、調査対象自治体を当初の計画より拡大したが、進捗に与える問題はない。
|
今後の研究の推進方策 |
母子世帯の母に対する労働政策としてこれまでの自治体調査でも対象としてきた在宅就業については、被災地における就業支援のひとつとして母子世帯以外にも拡大していることから、その意義や問題点、検討すべき課題について精査する。今年度の調査研究の過程において、障害者就労支援や若者就労支援の取り組みから学べる実践も多いことが明らかとなったため、母子世帯の母への就業支援策との共通点・相違点について検討する。
|