平成21年度は、幼児期の食育における栽培活動、クッキング活動の教育的意義と必要性の検討を行うため、幼児期の食育に関係する施設(2009年3月1日現在、福岡県の全市区町村役所・全保健所・全幼稚園・福岡県保育所連盟に加盟する全保育所)の職員が、これらの活動についてどのような認識を持っているのかを質問紙による調査で明らかにした(有効回答数331、回収率30.3%)。その結果、95.5%が幼児期にこれらの食育活動は必要であり、91.5%が実施可能と考えていることが明らかとなった。また、47.1%がこれらの活動を他の活動で補完することは不可能と考えていることが明らかとなった。 また、栽培活動、クッキング活動を行っている幼稚園・保育所を視察し、実際の活動場面の観察調査、実施理由と配慮事項に関するインタビュー調査を行った。その結果、これらの活動を実施している幼稚園・保育所では、これらの活動は他の活動以上に配慮を要するが、それに見合う体験を子どもたちにもたらすことができると考えていることが明らかとなった。さらに活動の実施方法にっいて、連携研究者の食・公衆衛生に関する有識者である田代幸寛氏(農学博士)の分析により、課題もあるが諸活動の実施は十分に可能なものであるという結果を得た。 以上から、幼児期の食育における栽培活動、クッキング活動について、ある一定の必要性を確認することができたといえる。また、これらの活動の実施についても、その可能性を見出すことができたと考える。とはいえ、他の活動で補完できる可能性も確認されたため、平成22年度の研究においては、幼児期の食育活動の実施方法について、幼児への教育的意義と併せて、詳細に検討していく。
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