本年度は、宇宙開発とコンピュータ開発のそれぞれの分野についての歴史的・社会学的考察に関する関連文献を引き続き探索し精査するとともに、技術システム全般のアーキテクチャに関する動向を探った。特に、電力システム分野におけるスマート・グリッドに関する研究開発の推進、コンピュータ分野におけるクラウド・コンピューティングの展開に関し考察を進め、技術システムの本質に迫ることを目指した。さちに、近年急速に注目を集めている水処理システムや都市インフラシステム等に関し、その政策・技術の動向に関する情報を多面的に収集した。加えて、本年度は、政治と技術システムとの相互作用を考察する格好の題材である鉄道システム、中でも東海道新幹線の構築過程に注目し、その歴史研究を進めた。 一方、技術システムの歴史を検討する際には、さまざまな技術システムの開発・構築を可能にした資金及び人材について深く検討することが重要である。このため、昨年度に引き続き、一般的に米国及び日本の科学技術政策について幅広く整理する作業を行った。関連文献にあたりつつ事実関係をとりまとめ、その結果を数件の雑誌論文及び学会発表の形で発表した。 本研究については、ここまで技術システムのアーキテクチャに関し、関連調査を行い考察を進めてきたが、残念ながら来年度は所属機関の異動により科学研究費の申請資格を失うため、本研究を継続することができなくなった。今後は、ここまでに得られた成果を踏まえ、着実に今後の研究活動に活かしていきたい。
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