本研究では都市域における体感温熱環境の面的な評価を目的として、河川沿いや街路樹下を含めた街区において夏季に気象観測を行った。その結果は以下のようになる。(1)都市域内外における暑熱環境の地域差を検討した結果、不快指数などある種の体感温熱指標は、日中でも中心と郊外とで差が見られず、一様な分布を示した。また夜間から明け方にかけての一部の時間帯では、郊外の方が都心より高い値であった。(2)街路樹や河川の傍の日なたでは、午前中や夜間では不快指数などでみると高い値がみられ必ずしも暑熱回避に有効とはいえないことが考察された。一部の時間帯では高層ビル傍での計算値より高い値がみらみられた。(3) (1)、(2)の要因として、それらの環境下では、相対的に気温が低くても湿度が高いため、計算上は都心のビル街と近い値が算出されるためであると考えられる。(4)ビルの日かげでは河川沿いと近い値がみられ、建物による日射遮蔽の影響が考察された。しかし夕方から夜にかけて比較的高い値が見られ、建物からの排熱や交通量の影響と推察された。
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