広告がその本質において情報的か否かは長く論争の的となっている。広告を情報的なものと見なす立場はスペンス(1973)が開発しキールストロムとリオーダン(1984)が広告に初めて応用したシグナリング理論によって強い裏付けを得ているものの、実証的な裏付けは2012年現在なお十分とは言えない。こうした状況下において、本研究は実施容易で且つ理論の正確な翻案となる実証研究手続の開発を試みた。本研究は、従来同理論の実証を困難ならしめいていた主要因を理論の持つ多段階構造に見合うデータセットが存在しないことに見出し、実証手順を分割することで困難を回避するとともに翻案としての正確さを向上させている。分割された実証手順は、公的機関がモニターすべき広告主を特定する際や消費者教育の対象者を特定する際など、実際的な場面での応用が見込まれるものである。
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