本研究の目的は、国際財務報告基準(IFRS)導入に関する中心的論点であった「連単分離」がドイツにおいてどのように行われたかを、政府、会計基準設定主体、財務諸表作成者(企業)といった3つの視点から分析し、それを日本の状況と比較することによって、日本が取りえる政策上のインプリケーションを抽出することであった。本研究を通じて、日本およびドイツにおける会計関連法の位置づけ、債権者・株主・投資家の保護の強弱が相違しており、このことが両国の連単分離方法の相違を生み出す原因となっていることが明らかになった。また、程度の差こそあれ、日本もドイツと同様、連単分離の会計処理を要求せざるを得ないであろう。近年日本において制度改編の動きが見られることから、この問題を継続して分析していく必要がある。
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