本年度は、p進レギュレーターとp進L関数について研究した。これはp進ベイリンソン予想およびブロック・加藤予想との関係で行った研究である。すでに佐藤周友氏との共同研究で、楕円曲面のテート予想について成果をあげており、その応用として、代数K群の元でp進レギュレーターが消えない元を構成することに成功した(11.研究発表参照)。しかし一方で、これとp進L関数の特殊値とを結びつける研究は全く取り残されたままであった。本年度は特にp進L関数について詳しく勉強および研究したが、いまだ十分な成果が挙がっているとはいえず、今後も引き続き研究を行う予定である。 本年度は、その他に、p進局所体上定義された代数曲面の0サイクルについても研究した。これについては、斎藤秀司との共同研究でpと素なねじれ部分群が無限群になる例を構成していた。それは十数年前から予想されていた問題に対して反例を構成したというもので、専門家たちを驚かせた(斎藤秀司氏との共同研究はすでに出版済み)。しかし、pべきで割れるねじれ部分群の無限性については、この問題の是非は取り残されたままであった。実際、pべきねじれ部分群が無限になる例を構成しようとすると、あるエタールコホモロジー群の部分群に多くの元を構成する必要がある。これは代数K理論を用いて構成できるだろうと予想しているが、非常に難しい問題であり、いまだ成功していない。現在も精力的に取り組んでいるが、来年度も引き続き研究を継続する予定である。
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