研究課題
2010年度も、引き続き混合モチーフ、代数K理論およびレギュレーターについて研究を行った。まず年度のはじめに、p進体上定義された代数曲面の0サイクルのなすチャウ群のねじれ元に関する研究を行い、成果をあげた。すでに先行する研究として斎藤秀司氏(東京大学)および筆者による、位数が1(pと異なる素数)べきであるようなねじれ元の研究があった。すなわち、われわれはそのような元が無限に存在することを初めて示すことに成功した。一方、位数がpべきである場合は、われわれの研究以降、未解決の懸案となっていた。今回、それを完全に構成することができた。より詳しく、3次元射影空間内の5次曲面として構成した。この結果は、論文として投稿し、現在査読が行われている最中である。一方、楕円曲面のK1群におけるp進レギュレーターないしサントミックレギュレーターの研究も精力的に行った。これは、佐藤周友氏(名古屋大学)と筆者の共同研究の延長線上にある研究である。われわれは、数多くのK1群の元に対して、そのp進レギュレーターが消えないことを示すことに成功した。この結果を援用して、筆者は非常に数多くの楕円曲面に対して、p進レギュレーターを計算したところ、非常に興味深い計算結果を得た。この研究はまだ途上段階にあり、現在も引き続き研究を続けている。最終年度である次年度もこの問題に精力的に取り組む予定である。当該年度は、海外招待講演を2件(2010年7月バルセロナ大学、2011年3月南京大学)、国際研究集会1件(2011年1月東京大学)を含む研究発表講演を数多く行った。そこでは一流の研究者と多くの有意義な議論、交流をもつことができた。
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Proceedings of Int.Coll.on Cycle, Motives and Shimura varieties
ページ: 35-38