数論的研究については、主な成果として奈良女子大の岡崎武生氏との共同研究により次数2の斜交群とその内部形式上の保型形式の間のジャッケ・ラングランズ・清水対応の例をテータリフトと呼ばれる保型形式により与えた。幾何学的応用に関しては、一般次元の双曲空間を含む対称錐体上の実数値保型関数のある一般的な構成を与えた。前者の結果はラングランズ函手性という保型形式の数論の指導原理について数少ない具体例を与えたものである.後者については、実双曲空間の算術商の実アフィン空間への埋め込みを考えるという幾何学の問題の一般化を意識した結果である。
|