研究概要 |
1.佐藤友美氏(東京女子大学)との共同研究により,以下の結果を得た.不足度1の有限表示群の無限巡回群への準同型に関するAlexander行列の1番初等イデアルが常に単項イデアルとなることは良く知られており(Fox),特に,結び目の補空間の基本群のアーベル化に関するAlexander行列の1番初等イデアルの生成元は,その結び目の(1変数)Alexander多項式と呼ばれている,今回,一般に不足度が自然数dの有限表示群の無限巡回群への準同型に関するAlexander行列のd番初等イデアルの生成系を具体的に1つ求めた.この生成系は,もとの有限表示群の生成元がn個ならば,高々_nC_<d-1>個の元から成る.この結果は,結び目や絡み目とは限らない一般の空間グラフの補空間の基本群に適用可能である. 2.佐藤友美氏(東京女子大学)との共同研究により,以下の結果を得た.3以上の自然数nに対し,鈴木の空間θ_n曲線と呼ばれる空間グラフについて,その補空間の基本群の,無限巡回群へのある準同型に関するAlexander行列の初等イデアルを完全に決定した.この準同型は,補空間の基本群をアーベル化のうえ,自然に無限巡回群に落とすことで得られるものである.この結果は,鈴木の空間θ_n曲線の補空間の基本群の,周期nの巡回群への準同型に関する初等イデアルの計算結果(鈴木)の拡張であり,系として,この準同型に関する鈴木の空間仏曲線の(1変数)Alexander多項式が,3以上の任意の自然数nについて得られた. 3.谷山公規氏(早稲田大学)との共同研究により,以下の結果を得た.いま,任意の空間6頂点完全グラフについて,その絡み目成分の絡み数の総和は2を法として1であり,また,任意の空間7頂点完全グラフについて,全ての頂点を含む結び目成分のConway多項式の2次の係数の総和も2を法として1であることは,それぞれConway-Gordonの定理として良く知られており,更に研究代表者によって,その整数版への精密化も得られている,今回,6頂点完全グラフ及び7頂点完全グラフに△Y変換と呼ばれる操作を有限回施すことで得られるそれぞれのグラフについて,Conway-Gordon型定理(及びその整数版への精密化)が成り立つことを示した.
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