研究概要 |
21年度及び22年度に得ることができた「Y-rotation」の結果をセミナー等で発表し,他の研究者との議論を行った.この過程において,上記の結果を一般の閉曲面上の議論に拡張する際に注意しなければならない点をまとめることができた.我々が得た「Y-rotation」の結果は射影平面上のk-既約四角形分割に対するものであるが,特にkの値が偶数(四角形分割が二部グラフ的)のとき,頂点の白黒を保存した議論が行えていることが重要になっている.一般の閉曲面上のSchrijverの結果(向き付け可能な閉曲面上の一般的なグラフの埋め込みに対する)では「γΔ-変形」に加えて「(埋め込みの)双対グラフをとる」という操作を許している.このことによって,議論はいくらか簡単になっているものと思われる.我々の議論を拡張する際にも,手始めに頂点の白黒を無視して結果を得ることが第一歩であると思われる.最終的に我々の期待する結果は,あくまで「Y-rotation」のみによる変形であるので,この性質を注意深く調べ議論をさらに進展させていく. また,射影平面上の四角形分割の構造を調査する過程において3-poly chromaticな四角形分割を完全に特徴づけることに成功した.(双対の4-正則グラフは射影平面上の閉曲線に分割することができる.任意のそのような閉曲線が射影平面上で可縮であることが必要十分条件となっている.一方,Y-rotationで扱ったk-既約四角形分割の双対の4-正則グラフにおいては,全ての閉曲線が非可縮になっている.)上記のように,ここで行った議論は「Y-rotation」のときのものとの共通点が非常に多く,単なる研究の副産物とは考えられない.この研究はまだ始まったばかりと言っても過言ではないが,今後もこれらの関連性を明らかにすべく研究を継続していく.
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