研究概要 |
遷移金属を内包したSiクラスター(MSi_n:M=Nb,Mo,and W)は、その構造安定性から、人工元素としてビルディングブロックとして利用することで、新規シリサイド材料を形成することが期待できる。これを実証するために、本研究では、WSi_<10>膜をSi(100)-2x1表面に形成し、主に、走査型電子顕微鏡観察や、電子エネルギー損失分光、X線光電子分光を用いて、熱処理に伴う、WSi_<10>膜の構造や電子状態の変化について調べた。その結果、500℃の熱処理を行ったとき、WSi_<10>膜とSi基板界面に、約1nmの厚さのエピタキシャル層、つまり、原子層シリサイド材料が形成され、さらに、WSi_<10>膜がエネルギーギャップを持つ半導体であることが判明した。このように、WSi_<10>膜を用いて、Si上に原子層シリサイド半導体が形成できることを実証した。
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