研究課題
超離散化の応用として,開放端箱玉系のソリトン解の明示式を代数幾何学の手法によって導出する共同研究を行い,論文にまとめて発表した.箱玉系の解の導出については様々な方法が知られており,異なる数学分野の対応関係を理解するために重要な対象である.本研究によって,そこに新たな知見が加えられた.超離散系においては振動現象を表す解の構成がこれまでほとんどなされてこなかった.符号付き超離散戸田方程式については,1の原始N乗根を用いた特殊化によってNの倍数周期の周期挙動を示す厳密解の構成が可能であるという結果が得られた.この結果は,超離散系によって振動現象を記述する具体例を提示しており,現象解析への応用に向けた基礎研究となるものである.この成果については学会発表を行い,また,論文にまとめて投稿中である.「符号付き超離散化」の手法を用いて,ベッセル方程式の特殊解について研究し,差分ベッセル方程式の解と超離散ベッセル方程式の解の直接対応を明らかにした.この結果をさらに拡張して差分パンルヴェIII型方程式の特殊解と,その超離散類似の特殊解との対応を調べた後にまとめて論文を執筆する予定である.なおこの研究の副産物として,前年度のエアリー方程式の場合と同様に,制限付き分割数に関する非自明な関係式が得られた.その組合せ論的な意味等については不明で,継続して研究していく.また符号付き超離散化については,近年の研究成果を国際研究集会のポスター講演にて発表した.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J.Phys. A: Math. Theor.
巻: Vol. 45, No. 39 ページ: 395202 (14)
doi:10.1088/1751-8113/45/39/395202
研究集会報告「非線形波動研究の進展 -現象と数理の相互作用-」
巻: 23AO-S7 ページ: 96--101
巻: 23AO-S7 ページ: 147--152