高導電性を有する柔軟かつ伸縮自在な材料は、伸縮性のある電子回路に利用できるので非常に注目されている。カーボンナノチューブ(CNT)は大きなアスペクト比によりナノスケールの直径でチューブの軸(長さ)方向に高い導電性を有するため、理想的な導電性フィラーと考えられている。ポリマー/CNTナノコンポジット系の極めて低い閾値(CNT添加量)は従来の導電性フィラー高濃度充填系材料と同等の電気伝導度を実現するだけでなく、マトリクスポリマー自体の力学性能、透明性、成形性等の性質をそのまま維持させることができる。伸縮性を付与するためにマトリクスポリマーとしてはエラストマーを選び、かつエラストマーの伸縮性は極少量のフィラー添加でしか維持されないので、伸縮自在な導電性ナノコンポジット創製において用いる分散用フィラーとしてはCNTが最良だと考えられる。我々は高せん断成形加工法を用いることにより、高導電性でありながら、伸長性に優れ(600%以上伸びる)、かつ柔軟な(200%ひずみからの回復ひずみが60%以下)ナノコンポジット創製に成功した。
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