安静時心拍数がメタボリック症候群を進展させるか否かについて、一般住民検診により検討した。住民検診を実施し、受診者計1943人のデータ収集、解析を行った。受診者の安静平均心拍数は64.7±10/分で、60未満、61-69、70-79、80/分以上の4群に分けて各項目との関連について解析を行った。年齢および性で補正した安静時心拍数は、心拍数が多い群ほど、収縮期および拡張期血圧、尿酸値、空腹時血糖、インスリン値、HOMA指数、LDLコレステロール値、アルドステロン値、活性型レニン値が有意に上昇していた。安静時心拍数は、メタボリック症候群を構成する血圧、インスリン抵抗性や脂質代謝と明らかに関与しており、交感神経活性と関連するアルドステロン値、活性型レニン値とも有意な関連を認め、交感神経活性がメタボリック症候群の進展に関連している可能性が示唆された。しかし2009~2011年までの観察期間では、経年数が短くメタボリック症候群を発症した人数は少なく、心拍数とメタボリック症候群の発症進展に有意な関連は得られなかった。今後も追跡調査を行う予定である。
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