野生型p53発現プラスミドを栄養要求性マーカーHIS、URA3を利用してα接合型出芽酵母株に導入した。一方、網羅的p53ミスセンス変異ライブラリーは、a接合型出芽酵母株YPH499に2314種類の変異TP53発現プラスミドとEGFPレポータープラスミドをそれぞれ栄養要求性マーカーLEU2、TRP1を利用して導入した。尚EGFPレポータープラスミドにはWAF1のp53応答配列を挿入してある。α接合型出芽酵母株と2314種類のYPH499株をYPDプレート上で接合した。接合したコロニーは3種類のプラスミド(野生型p53発現プラスミド、変異p53発現プラスミド、EGFPレポータープラスミド)を持つ2倍体細胞が増殖したものである。接合したコロニーをSC-trp-leu-his-uraプレートと5-FOA含有SC-trp-leu-hisプレートそれぞれに移し37℃で48時間培養し、コロニー形成能を観察した。URA3は野生型p53発現プラスミドにおいてTP53のcDNAの下流に挿入されており、Uraは野生型p53依存性である。野生型p53がp53ドミナント・ネガティブ変異体と接合した場合には、SC-trp-leu-his-uraプレート上でコロニーの形成は抑制される。また、Ura+細胞では5-FOAが5-FUに変換するため細胞は増殖できず、5-FOA含有プレート上でドミナント・ネガティブ変異体と接合したコロニーのみが増殖するため、ドミナント・ネガティブ変異体が同定できる。このようにしてスクリーニングしたドミナント・ネガティブ変異体は哺乳類細胞内でさらに詳細に解析し、ドミナント・ネガティブ作用のメカニズムについて詳細な知見を得ることを可能にする。
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