鍼刺激による皮膚血管拡張反応の機序を解明するために、一酸化窒素(NO)や軸索反射性血管拡張の関与を検討した。感覚神経の軸索反射性血管拡張の関与についてリドカインクリームによる影響を無処置部と比較した。結果、リドカインクリーム処置部では機械的刺激に対する感覚閾値の上昇が認められたが、皮膚血管コンダクタンス(CVC)や面積の経時変化は無処置部と比較して有意差を認めなかった。次にマイクロダイアリシスを用いてNO合成酵素阻害薬であるN^G-ニトロ-L-アルギニンメチルエステル塩酸塩(L-NAME 20mM)を皮内へ投与し、NOの関与を検討した。L-NAME投与部ではコントロール(リンゲル液投与)にくらべて鍼刺激によるCVCの経時変化に有意な減弱が認められた。以上の結果から、鍼刺激による皮膚血管拡張反応には感覚神経の軸索反射性血管拡張反応以外のメカニズムも関与しており、NOが部分的に関与していることが示唆された。
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