ポリコーム群(PcG)タンパク質は、ヒストン修飾を介して様々な発生関連遺伝子群の転写抑制に寄与する。我々はこれまでに、PcGタンパク質Bmi1が肝幹細胞の自己複製を正に制御していることを明らかにしているが、その作用機序は未解明である。本研究ではPcGタンパク質複合体構成因子のうち、標的遺伝子の転写抑制で重要な役割を持つRing1Bを対象として肝幹細胞における標的遺伝子の探索を試みた。その結果、肝幹細胞のRing1B下流候補遺伝子約900遺伝子を同定した。これらの遺伝子には、細胞周期やアポトーシス制御に関わるものが複数含まれていた。肝幹細胞の自己複製においてRing1Bは細胞周期やアポトーシス制御を担っているものと考えられた。
|