研究概要 |
癌の浸潤能を解明するため、癌先進部特異的な変化を来す遺伝子のスクリーニングを行った。大腸癌手術20 症例から、癌の先進部と中央部の癌細胞の採取を行った。採取方法として腺管分離法を試みたが,正確に分離・回収することは困難であった。このためマイクロダイゼクション法を用いて細胞回収を行い、マイクロアレイ解析を行い、先進部特異的な遺伝子発現を呈する遺伝子群を抽出した。T検定を用いた場合、先進部で発現が亢進する遺伝子群は5遺伝子、低下する遺伝子は1遺伝子であり、クラスター解析を行った場合は、先進部で発現が亢進する遺伝子群は24遺伝子、低下する遺伝子群は29遺伝子であった。 伝子群は24遺伝子、低下する遺伝子群は29遺伝子であった。また近年、癌先進部において低分化傾向を呈する症例が予後不良である事が報告されている。上記症例中、先進部が低分化傾向を呈する11症例において同上の解析を行った結果、t検定を用いた場合、先進部で発現が亢進する遺伝子群は4遺伝子、低下する遺伝子は6遺伝子であった。クラスター解析を行った場合は、先進部で発現が亢進する遺伝子群は13遺伝子、低下する遺伝子群は18遺伝子であった。 今回の検討結果では、以前から報告のあったタンパク分解や細胞外基質以外にも多くの分子が癌の浸潤や先進部の低分化傾向に関与する可能性が示唆された。現在、RT-PCRによる発現確認を行っている。
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