手術中に用いられる筋弛緩薬による術後遷延性呼吸抑制の原因は呼吸筋への筋弛緩作用遷延によると考えられていた。しかし、呼吸中枢が存在する延髄だけ取り出した動物実験では、延髄に直接投与した筋弛緩薬が呼吸抑制を引き起こすことが報告された。本研究では、手術と同じように、全身麻酔および人工呼吸器下のウサギに、末梢静脈から筋弛緩薬を投与して、筋弛緩薬が血液から延髄に移行して呼吸中枢にどのように作用するか検討した。その結果、末梢血管から投与された高濃度の筋弛緩薬ベクロニウムが延髄に作用して呼吸抑制を引き起こすことが明らかになった。
|