研究概要 |
本年度は当初の計画通り,荷重装置システムの小型化による操作性の向上および皮膚電気刺激感覚閾値(CPT ; Current Perception Threshold)の測定を行った. 荷重装置システムの小型化に関しては,研究代表者が開発した現行システムの動力伝達機構の見直しを行った結果,電動アクチュエータを導入したシステムを用いることとした.動力仕様を変更した結果,分離されていた動力源と動力伝達機構の一体化を図ることができたため,装置システムの携帯および円滑な設置が可能な状態となった.現在,荷重点速度の多段階調節が可能となるように,アクチュエータのリニア動作のプログラミングを行っている.刺激荷重検出用のセンサとしては,従来のひずみゲージから感圧ゴムに変更することによって,荷重点の小型化を図ることとしている. CPTに関しては,本研究の趣旨を理解し同意を示した者4名を対象として,左右における前腕内側部皮膚のCPT測定を行った.その結果,右側CPTは8.17±2.04μA,左側CPTは8.65±1.73μAを示し,左右におけるCPTの有意差は検出されなかった.体性感覚の側性をさらに検証するために,SW知覚テスターを用いて左右の人差指における皮膚感覚閾値(CST ; Cutaneous Sensory Threshold)を測定した.その結果,右指のCSTは0.11g±0.12gを示して,左指の0.05±0.05gに比較して有意に大きな閾値を示した.被験者全員が右利きであることを勘案すると,感覚閾値の側性と運動側性との間には関連がある可能性が示唆された.今後,咬合感覚の測定を行うに際しては,習慣性咀嚼側との観点を含めて咬合感覚を評価する必要性があることが今年度の研究から判明した.
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