研究概要 |
近年,「睡眠時無呼吸症候群」という疾患名は認識されてきたが,他疾患との関連性や治療についての関心は低い.睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病や循環器疾患との関連が高いことが,近年の研究で報告されている. 今回の被験者では11名が高血圧と診断されており服薬中であったが,いつれもコントロール良好な状態であった. 調査結果では,ベルリン質問票でハイリスクと判定できた被験者が23名中9名存在した.この9名中,高血圧の既往歴を有する被験者は3名であった.9名の中で,エプワース質問票においてもスコアが10以上を示した被験者は2名で,マランパティスコアがIII以上であった被験者は5名であった.すべての項目で,睡眠時無呼吸症候群が疑える被験者は2名で,そのうちの1名はすでに睡眠時無呼吸症候群の診断を受けていた. この結果から,今回使用した質問票やマランパティスコアの評価を用いて総合的に判断することは,睡眠時無呼吸症候群の潜在患者を探し出すために有用であると思われる.これらの調査方法は多忙な臨床の中で特別な時間を要せず,経験年数に影響することなく,多くの歯科医師が利用することが可能な方法である. 眠気や無呼吸に関する質問票を理解し活用していくことや,常に口腔内を観察している歯科医師として,マランパティスコアなどの方法を理解しておくことは有用であると思われる.このような活動は睡眠時無呼吸症候群の早期発見に貢献し,全身疾患の治療にも寄与することから,さらなる医科歯科連携診療に発展すると考える.
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