研究概要 |
本研究の目的は,FI-Frequency Curveを表現する数学的モデル(FFC-equation)のkパラメータを用いた,簡便な筋線維測定法の提案であり,その有用性を検討するために,ラットを用いて,以下の基礎実験を行った. (1)筋線維構成比が異なるラットの腓腹筋,中間広筋,ヒラメ筋のkパラメータを測定する. 被験筋は,速筋線維優位である腓腹筋,遅筋線維優位であるヒラメ筋,これらをバランス良く含む中間広筋を対象とする.ラットを麻酔した後に,皮膚を切開して被験筋を露出させ,末梢側の腱を切断して,最大発揮張力が得られる筋長で固定した.刺激パルスは5秒間に1~50Hzまで時間軸に対して対数的に刺激周波数を増加させ,FFCを測定し,そのFFC-equationからkパラメータを算出した. 以上の実験の研究成果として,1件の学会発表(第24回生体生理工学シンポジウム),1件の学術論文(バイオメカニズム20),1件の学会奨励賞(第24回生体生理工学シンポジウム学会奨励賞)が挙げられる. (2)筋生検を実施し,病理染色によって得られた各被験筋の筋線維構成比とkパラメータとを比較する 前述における各被験筋のkパラメータの算出後,被験筋の筋線維構成比をATPase染色で測定する.具体的には,被験筋を切断して採取し,剃刀で断端の形を整えた後,小さなコルク台の上に組織を固定し,凍結ブロックを作成した.その後の凍結ブロックの薄切およびATPase染色は,平成22年4月以降に,(株)札幌総合病理研究所に外部委託し,筋線維断面積比とkパラメータを比較する.以上の研究成果は,平成22年6月に開催されるTheXVIII Congress of the ISEK in Denmarkで学会発表する予定である.
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