研究概要 |
本研究の目的は,FI-Frequency Curveを表現する数学的モデル(FFC-equation)のkパラメータを用いた,低侵襲かつ簡便な筋線維測定法の提案である.昨年度(H21年度)において,ラットの腓腹筋,中間広筋,ヒラメ筋のFFCのkパラメータを測定した後,実際にその筋線維構成比を確認したところ,その両者の関係は正相関した.この結果より,kパラメータは筋線維構成比を反映していることが分かった.したがって,今年度(H22年度)は,このkパラメータを用い,ラットの廃用性筋萎縮にともなう筋線維構成比の変化の評価を目指した. 具体的に,筋線維の構成比を変化させる手段として,ギプス固定による廃用性筋萎縮を選択した.廃用性筋萎縮とは,骨格筋の長期間の不使用によって,筋線維が退化して萎縮した状態と定義され,筋線維の速筋化が特徴である.ラットの廃用性筋萎縮モデルの作成法は,すでに確立されており,ラットの後肢を市販の固定具で2週間懸垂させることで容易に筋萎縮を惹起させた.この手法に則って,廃用性筋萎縮の前後におけるkパラメータを測定し,廃用性筋萎縮にともなう筋線維構成比の変化を評価した.なお,廃用性筋萎縮で筋線維が速筋化したことをATPase染色によっても確認した. これらの成果は,2010年6月に開催された国際学会(The XVIII Congress of the International Society of Electrophysiology and Kinesiology, Denmark)にて発表され,国際ジャーナルへの投稿に向けて準備中である.
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