研究概要 |
パターン認識に基づく画像認識研究では,未知の画像を所定の「クラス」のいずれかに分類することが目的となる.従来の画像認識研究の多くでは,分類を行う認識器があらかじめ定められた特定のクラスしか取り扱えないという問題があり,また取り扱うクラスごとに手動でラベルを付けた大量の学習用画像を用意する必要があるという問題があった.これらの制約は画像認識の実用化を(顔検出などの)限られた分野に留めている大きな原因であると考えられる.本研究ではこれらの問題を解決するための画像認識学習法の研究開発を行った.具体的には,まず(i)ラベル付けや切り出しを行っていない生の動画データからランダム的に選ばれた構造体に対し,対象の向き変化や非剛体変形にロバストな対象追跡手法を適用し,その構造体のみを捉えた短時間の部分動画シーケンスを取り出すこととした.このような部分動画シーケンスを繰り返し取り出し,それらの集合を認識器の学習に用いることで,学習用画像を自動的に切り出しうることが示された.また,(i)によって得られた部分動画シーケンスの集合に対し,クラスタリングによる非教師的分類を行い,切り出された学習用画像のクラス化を行うこととした.これにより,分類器があらかじめ定められた特定のクラスのみしか学習できないという問題を解決しうることを示した.さらにクラスタリングの結果に対してユーザが手動で重要度を与えることでより効率的に学習を行いうることが示された.
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